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ぬり絵題材紹介・5月「ヘンゼルとグレーテル」【R5/5/1】

ぬり絵の題材は、童話や季節の行事にしており、もし、本と絵に興味を持つきっかけになってもらえればと思っております。

こちらのページではカラーの原稿の紹介やぬり絵題材の説明などをさせて頂いております。

 

◯5月「ヘンゼルとグレーテル」

グリム童話のお話です。夢のような「お菓子の家」が強烈なインパクトとして残る作品ですが、話自体は 悲しく怖い部分もあるお話です。 まず 貧困に困り、お母さん(継母)が 木こりのお父さんに命じて、子供を森においてくるというところです。ここの設定はかなりヘビーな部分なので、さらっと流して書かれている絵本も多いですが、第1版では継母ではなく実母の設定だったそうです。

この話は、中世ヨーロッパの大飢饉の時代背景があるようです。

食べ物がなく、「口減らし」として我が子を捨てなければならない状況も起きた時代だったのかもしれません。

また、お菓子の家を罠にして現れる魔女はとても怖いです。

この「魔女」というのも、当時は、中世カトリック社会における「異端」の象徴として描かれることがあったようです。

また、グリム童話ならではの不思議があって、話の中で、魔女を倒し、家に帰ると継母がいなくなっていたことから、魔女と継母が同一とされる見方があるそうです。

 

この物語の教訓として、甘い誘惑(お菓子の家のような)に負けてはいけないとか、知恵と勇気を振り絞って 困難を乗り越えていくとか 、いろんな読み方ができます。ただ、私は、自分自身「子を持つ親」または「親を持つ子」の2つの立場から物語を読むと、「母」と「魔女」と「グレーテル(娘)」の関連性が一番引っ掛かります。

「母」は時に「魔女」になってしまうこともある、子どもを思い通りにしようとしてしまうことがある、母と子には「絆」があるが、時に「鎖」になってしまうこともある。「鎖」になってしまったら、子も勇気をもって「鎖」を断たなければならない。

そんなことを、暗に示しているような気がするのです。

また、木こりである父も実の子どもを置いてくることに反対ではあったものの、結局、継母の言うことを聞いて過ちを犯してしまいます。これは男性の女性に対する弱さの部分を示しているような気もしてきます。

子どものころは、もちろん、そんなふうには考えなかったですが、自分の年齢や置かれている立場によっていろんな見方ができるのが、物語の良さですね。こういった童話は特に、細かい説明や心理描写がないので、読者が自由に想像し、考えをふくらませることができます。また年齢層も広く楽しめるので、お子様と一緒に是非もう一度童話を味わってみて下さい。

 


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