◯「あおむし」(工作)
今回は、初めて工作を行いました。
「工作」というのは、幼児にとって「絵画」よりも、実はハードルが高いです。
切る、貼る、折る、描くなどの様々な動作に加え、説明を理解する、順番を把握する、などの思考の作業も増えるからです。
また、扱う材料ごとに(例えば、厚い紙、薄い紙、粘土、糸、針金など、、)力加減、扱い方も違うので、体感して工夫していかなければなりません。
ただ、そのぶん「工作」は、頭も体もフルに使うので、脳の発達や身体能力の向上にも大いにつながります。
幼児の場合、まず、楽しくないと集中して取り組めないので、「工作」は幼児の成長に合わせた内容にしていくことと、周りのフォローが大事になってきます。
例えば、まだハサミで切ることが思うようにできないのに、厚紙を切る工程があると、切るのに苦戦し、それだけで作るのが嫌になったりしてしまいします。
大人にとって簡単なことも、子供はけっこうできません。なので、いろんな工程を最初からやらせようとせず、「楽しく出来るやさしめな工程」を中心に、少し「チャレンジ工程」プラスした内容にして、だんだんできることを増やしていくのがいいと思います。
子供はできないことは確かに多いですが、吸収が驚くほど早いので、楽しく続けていけば、どんどん成長していきます。
ただ、ここでひとつ伝えたいのが、幼児期ではどんな子でも「できるようになるのに、時間がかかること」が絶対にあるということです。例えば、ある子はそれが「ハサミで切ること」だったり、ある子は「クレパスの持ち方」だったりします。
絵画以外のことでも、例えば「使ったものをもどすこと」「オムツを卒業すること」だったりもします。あと「ハサミ」は使えるのに「箸」はなかなか使えなかったり。子どもそれぞれで違います。
幼児期は習得していく事がたくさんあります。なので中には、習得するのに時間がかかることがあっても当然です。
大体のことがいつの間にかできるようになりますし、親や先生がいくら言ってもできないこともあるものです。
事柄にもよりますが、子ども自身が身をもって失敗したり困ったりして初めて、それをやることの意味を理解して、やれるようになったりもします。
また、おともだちがやってるのを見て「やれるようになりたい」と心から思った時にできるようになったりもします。
なので、子どもが、なかなかできるようにならないことがあっても、あせらず見守ってみて頂ければと思います。
今回は、最初なので3歳児、4歳児クラスとも「カラーペンで描く」工程を基本にし、4歳児クラスでは「ハサミで切る」工程も少し加えて行いました。
「カラーペンで描く」というのは、大したことではないように思いますが、「クレパスで描く」と比べると、「カラーペンのふたをとる→描く(描いている間カラーペンのふたを失くさないようにする)→カラーペンのふたをしめる」というふうに「描く」以外に2つの動作が増えます。さらに「描いている間にカラーペンのふたを失くさないようにする」というのを工夫しなければなりません。
最初は、キャップを外すのも固く、やりづらく感じたりする子もいます。でも、使い方に慣れてくると、カラーペンは描き心地がなめらかで、とても楽しめる画材になります。
今回は動く「あおむし」の目や口、柄をカラーペンで描きました。また、「あおむし」の「食べもの」も作り、あおむしが食べれるように、あむしのお腹に裏に磁石でくっつくようにしました。子どもがやった工程はほぼ、「カラーペンで描く工程」だけでしたが、自分で作ったものを動かして遊べるという点は「工作」ならではの楽しさや達成感があります。
導入の話では、絵を使ったクイズなどを楽しくやりながら、「あおむし」の話にもっていき、工作見本の「あおむし」と「ちょうちょう」を動かしながら、「あおむし」が「ちょうちょう」になるお話をしました。「はらぺこあおむし」の絵本などで、「あおむし」のことはイメージしやすかったようで、「あおむし」が「ちょうちょう」になることも知っていて、すんなり制作に入っていました。
3歳児クラスのおともだちは、初めてのカラーペンのキャップに少し手こずる姿もありましたが、いやになることなく夢中になって描いていました。
4歳児クラスでは、あおむしの食べ物を描いた画用紙を切る工程もプラスしましたが、みんなハサミをしっかり使えていました。ハサミは幼児には危ないかな、というイメージもあるかもしれませんが、「ハサミは切るもの」という認識をしっかりして使う分には、切っている途中にケガをするというのは案外少ないものです。なので大人が見守って、切りやすいものから初めてあげれば、楽しく使える道具ですので、そこまで抵抗を持たずに使わせてあげたらと思います。
絵画の時間でみんなで制作したのは、「あおむし」だけですが、「あおむし」が早く終わったおともだちが、作りたかったら作れるように、先生方に「ちょうちょう」の用意もしてもらいました。なので、「ちょうちょう」も作っているおともだちもいます。
作った「あおむし」に食べ物を食べさせて「あおむしの会話」をしながら遊んでる姿も見られ、とても嬉しく思いました。
〈3歳児クラスの作品〉
〈4歳時クラスの作品〉