【あそびの森ゆうたす「絵画の時間」ご挨拶】
7月度から「絵画の時間」が始まりました。
絵画の時間では水彩画を中心に、時々、工作などを取り入れたカリキュラムを組んでいます。
絵画の時間を通して、自分の頭で考え、想像し、自由にに表現できる楽しさを味わってもらえればと思っています。
幼児期は、絵に対しての苦手意識も少なく、周りの目も気にせず、絵画を「あそび」のひとつとして楽しめる時期です。
また、おともだちと一緒に描くことで、お互いに楽しく吸収し合うことができます。
世の中は、デジタル化が進んでおります。絵に関してもデジタル化が進み、アナログより簡単に処理できることも多くなりました。
ただ、幼児期にデジタルから入ることはお勧めはしません。絵だけではないですが、デジタルから入るとアナログに興味を持ちづらくなります。アナログよりデジタルの方が簡単だからです。
例えば、物語を知りたいと思ったら、子供にとってまだ読みづらい文字がある本を読むより動画で見た方が楽です。動画で見る手段を先に知ってしまうと、本を読むことに楽しさを見出しづらくなってしまう場合があります。
今の時代、デジタルに触れる機会はこの先、たくさんあります。でも、アナログに触れる機会は作らなければなくなってしまう時代です。
子どもはエネルギーに満ち溢れ、全身を思いっきり使い色んなことを吸収します。絵も「手」で描くというより「体」で描きます。デジタルでは指先しか動かしません。
絵筆をバケツで洗って水の色が変わるのが楽しくて、画用紙に塗る前に絵具を全部水で溶かしたり、絵具を画用紙に塗らないで足に塗ってみたり。大人だったらしないことも子どもは夢中でします。「この色をもっと溶かしたらどうなるだろう」「体に絵具塗ったらどうなるの?」と全部、好奇心からの行動です。例えば「体に絵具塗ったらどうなるの?」は「ボディペインティング」の原点になる発想かもしれません。
集団生活の中では、全部を自由にやらせることは、もちろん出来ないですが、絵画の時間の中では、できる限り子供の「やってみたい」をやらせてあげられればと思っております。
また、絵画は、描くのも楽しいですが、出来上がったものを誰かに見てもらうのもうれしいものです。ぜひ、お子様の絵を見て感想を伝えてあげてもらえればと思います。
その際「上手だね、うまいね」の誉め言葉ではなく、「ここの色がきれいだね」「この形おもしろいね」など、その絵を見ていいなと思ったところを具体的に伝えてあげて下さい。
「上手、うまい」はとても曖昧で、何をもって「上手な絵」なのかは誰にも決められないものだと思います。子どもは、周りが言う「上手、うまい」絵を描こうとしてしまう場合があります。
子どもが自分で想像して楽しんで描いた絵は、楽しんで生きてる証のようなもので、親にとって最高の絵だと思うのです。
その目線で子どもの絵を見て言葉をかけてもらえればと思います。
今後、絵画の時間で描いた作品をブログページにてご紹介していこうと思っております。お時間ある時に是非ご覧ください。
今回はページを作るのが遅くなってしまいましたが、これから、絵画の時間の実施日の週の金曜日頃までにアップしていく予定です。
絵画の時間に描いた作品は基本的に全部載せるようにしておりますが、その時その時で撮り忘れてしまったり、載せ忘れてしまうこともあります。ご理解いただけると幸いに思います。
【絵画の時間の流れ】
その日描くテーマのお話を、じっくりお話します。ホワイトボードに子どもたちのきっかけになる程度の絵を描きながら話を進めます。お話を聞いて自由に想像しながら、クレパスと絵具で絵を描きます。お話を聞いて、描きたいと思ったものを描ければいいと思っているので、テーマと違う題材になったとしてもOKで絵を描きます。
【作品紹介】
〇「お月見」
3歳児クラスでは、9月に入ったので、まず「季節」のお話をしました。
春夏秋冬を、気温のことや葉っぱの色の変化などを子どもたちに問いかけながら話しました。
その後、9月は、秋でお月様がきれいに見えるんだよ、とお月様のお話をしました。
お月様の形の話をしたり、先生がお月様をじっと見てたら、お月様でウサギとライオンが餅つきをしてたよ、というお話をしたりしました。
お月様には何がいるかな?お月様までどうやって行くかな?色々想像を膨らませてお月様のお話を楽しく描きました。
3歳児では、まずお話を聞いて、想像して、とにかく手を動かして何かを描いて表現できることが大事です。3歳児では集中力が持たないパターンもあって当然なのですが、みんなお話にも、しっかり耳を傾けて聞き、集中して絵を描くことができていました。
4歳児クラスでは、3歳児クラスでお話した内容に加え、月見団子やススキをお供えする「お月見」のお話も少ししました。「十五夜」や「お月見」などのことは、幼児ではまだ理解しづらくちょっと難しいですが、ウサギが餅つきしてるお話や月見団子のことは知っているおともだちもいました。ススキは実際に持ってきて見せてあげたかったですが、これからの時期、道端でススキが生えている所を見かけることもあるかもしれないので、もし見つけたらお子様に声をかけてもらえたらと思います。4歳児クラスのおともだちもお話をしっかり聞き、お話を自分で発展させて描き表すことが出来ていました。
〈4歳児クラスの作品〉
〈3歳児クラスの作品〉
【最後に…】
子どもの絵を見て、例えば「まだ物の形をしっかり描けないんですが大丈夫でしょうか?」など、心配される保護者の方もいらっしゃいます。私も子供を持つ身として、保護者の方の気持ちはわかります。でも、大丈夫です。
絵だけではないですが、幼児の成長過程は、月齢だけでも差があり、個人差が大きいものです。
例えば、一般的な成長過程における3歳児の形の表現の仕方としては「グルグルの丸を描く→だんだん丸を使って顔を表すようになる」といった具合なのです。それ自体も目安でしかなく、月齢によっても差が出ますし、逆に形を捉えるのが得意な子もいます。
子どもの発達・成長を表す役割も実際、絵にはありますが、まず「子どもが自分で想像して楽しんで描いた絵」という見方で見てみて下さい。
当たり前ですが、生きてないと何かを描くことが出来ません。そして全く同じ絵は描こうと思っても描けません。世界に1枚だけの一生懸命生きてる自分の子供の絵なんだ。という目線で見てみてもらえればまた見方も変わってくると思います。
ご自分のお子様の作品はもちろん、他のおともだちや他の学級の色んな作品を見てほしいと思ってブログページに絵を載せさせて頂いております。子どもたちのパワー溢れる絵を楽しむ気持ちで見て頂けたら幸いです。
なぎさ絵画造形教室 林 渚